米国の鬼才「インターネット時代は始まったばかり」

 

米国ではインターネットを用いたインフルエンサーが巨万の富を築いている。Gary Vaynerchuk (ゲイリー・ヴェイナチャック) 氏もその一人。名前から連想できるように、彼は父親に連れられて家族で米国に移民したベラルーシ系だ。

 

 

父親は一文無しで米国に来て、酒店を経営した。暮ら向きは普通だが、子供にあれこれ買い与えない家庭だったと言う。

大学卒業後に家業のワイン店を引き継ぎ、5年足らずで売上を5,000万ドル以上伸ばした。その背景は1996年か97年頃、Webサイトを立ち上げたことがきっかけだ。

当時インターネットはまだ黎明期で、

「小さなワイン店で何でそんなものが必要なんだ?」と誰もが懐疑的だった。

しかしYoutubeでワインライブラリーチャンネルを開設したところ大ヒットした。「僕のワインショーが気に入ったから握手してほしい」と何時間もかけてワイン店に来る人が続出した。

 彼の発信力に目をつけ、ライフスタイルブランドやビールメーカーのバドワイザーなどが彼の会社と提携している。

ヴェイナチャック氏は言う。

「今は誰もがお金儲けが出来る時代。前代未聞の濡れ手に粟の大チャンスだ。インターネットビジネスに匹敵するチャンスはアメリカの開拓時代、土地が二束三文で手に入った状態(以来のこと)だよ」

皆が大金持ちになれるとは言わないものの、年間7万1,000ドル稼げるなら、本業(今の仕事)をやめられるかもしれないと言う。

例えばインスタグラムで10万人のフォロワーを持てば、一度の投稿で5,000ドルの収入、フォロワーが50万人なら投稿あたり1万ドルの収入が得られる可能性があると言うのだ。もしヒットしない場合に考えられる原因は「知識不足」だそうだ。専門家を気取っても実力が足りなければ支持は受けられない。

彼が語る成功の秘訣は以下だ。

 

インフルエンサーになるためのキーポイント(インスタグラムの場合)

1.Love your content:自分が大好きなコンテンツを選ぶこと。好きでなければすぐ飽きる。

2.Hashtags:何かについて語るとき、それに関連する単語をすべて入れておく。

3.Engage:インスタグラムに深く関わること。1日に90の記事にコメントを付けてコミュニティの一員になる。

4.Collaborate:連携すること。沢山フォロワーを持つ人に接触して「始めたばかりなんですがうちを宣伝してもらえますか?」と持ちかける。

5.Patience:耐えること。

 

「インターネット時代は始まったばかり。新しいことは出尽くしたなんて大間違い。まだまだ大チャンスが転がっている。カネや時間は問題じゃないよ、大事なのは気持ちだよ。僕は楽観的で野心的。自分のやるべきことを把握して、感謝と楽観主義で動いている」

 

Gary Vaynerchuk (ゲイリー・ヴェイナチャック)

起業家、ベストセラー作家、メディア会社VAYNERMEDIA代表。自己啓発などのコンテンツをソーシャルメディアで発信し、900万人がそれを視聴するインターネット界の鬼才。一流ブランドのデジタルマーケティングで成果を上げており、FacebookInstagram、Snapchat、Youtubeなどをフル活用。24時間アイディアを考え続け、24時間コンテンツを回し続けるというサイクルを確立したモーレツな仕事人間でもある。42歳、2児の父親。

 

怒れる人々

今週はニュースで感情的に行動する人々を多く見た気がする。5月並みの温かさが数日続いたかと思えば長雨で冬に逆戻りしたり、天気も忙しい。梅は雨で散ってしまったところも多いだろうが、桜の開花はもうすぐかかりそうだ。

さて、表題の「怒れる人々」を3つ挙げたいと思う。

まず国内において、怒れる野党連合(依然として一枚岩ではない)。

ここ毎日、政界は森友問題による財務省の文書改ざんスキャンダルの泥仕合を見せ付けている。

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8日の野党合同集会(共同通信より)

立憲民主党蓮舫参院国対委員長「佐川さんの証人喚問、1日でも早く議決することが、国民の声だと思っている」(3月15日のFNNニュースから引用)

希望の党今井雅人氏(衆院財務金融委員会で麻生財務大臣に)「なぜ忖度がなかったと断言できるのか。断言できるはずがない」(3月17日読売新聞から引用)

と、与党攻撃に勇ましい。インタビューで蓮舫をやたら見ると思ったら、枝野氏はインフルエンザだそうだ…

そして自民党内部も揺れており、関心はポスト安倍に移っている。

政府関係者「財務省爆弾の威力はすさまじい」(3月17日時事通信から引用)

岸田派の一人「岸田派も首相をライバル氏する石破派も活発に動くだろう。展開次第で首相は出馬を諦めるかもしれない」と見る向きも。(同上)

 

さて、次は英国の怒れる首相。

こちらは内政ではなく、外交だ。突如として現れた外敵により国内がこれまでになく一丸となっている。

発端は、去る3月4日、イングランド南部ソールズベリーのショッピングセンターで、元ロシア・英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア氏が、ベンチで意識を失った状態で発見された事件だ。ロンドン警視庁はロシア製神経ガス「ノビチョク」による殺人未遂事件と発表。最初に二人に近付いた警察官と合わせて三名が重体に陥っている。

ロシア人元スパイは英国に亡命するのが規定路線なのだろうか。思い出すのは、2006年に放射性物質ポロニウム210」入りの紅茶を飲んで死亡したアレクサンドル・リトビネンコ氏だ。

そして今回のこの事件を受けて、ボリス・ジョンソン外相並びに、テリーザ・メイ首相はロシアに激怒している。

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15日、議会でメイ首相(fntalkより)

メイ首相「イギリスに対する無差別で無謀な攻撃だ」(3月14日ニューズウィークより引用)

ジョンソン外相「われわれの争点はプーチン大統領が支配するロシア大統領府で、第二次世界大戦以降初めてとなる英国、および欧州の路上での神経剤の使用はプーチン大統領自身が決定した公算が非常に大きいと考えている」(3月17日ロイター通信より)

 

英政府はロシアに対し事件の説明を求めていたがロシアが回答しなかったため、23人のロシア外交官を国外追放する方針を14日に発表。(同上)

また英米独仏の4カ国の首脳は、15日、異例の共同声明を発表した。ロシアが事件に関与した可能性が「極めて高い」として、「安全を脅かすものだ」と強く事件を非難したうえで、ロシアに対し、化学兵器禁止機関(OPCW)への神経剤情報などの資料提供を求めた。(3月16日産経新聞より)

 

とこちらは、矢継ぎ早に対策を打って来たメイ氏。米独仏首脳との共同声明はNATOとEUも協調しているもようだ。Brexitではゴタゴタだが、この対応で与党保守党は一致団結したようで、その対応は驚くほど迅速である。英国は自国内でこのような犯行が白昼堂々と行われた(メイ氏は「主権を脅かされる」と表現)ことに我慢がならないのだ。

 

そして最後は米国の怒れるティーンエージャーたちだ。

2月14日にフロリダ州Marjory Stoneman Douglas High School(マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校)で起きた銃乱射事件からちょうど1カ月の節目に、学校の外に出る「ウォークアウト」大規模デモが全米各地で行われた。参加人数は2,000人以上とされる。動機はもちろん、自分達の安全を確保するためだ。これは切実な願いだろうが、お上に受け入れられるかどうかというと極めて難しいだろう。

デモの主催者「ウィメンズ・ネットワーク」は、米連邦議会が銃による暴力への対策に失敗していることを非難している。

ホワイトハウスは今週、学校での銃乱射を抑止する対策案を公開したが、トランプ大統領が繰り返し主張する、半自動小銃の購入可能年齢を(現行の18歳から)21歳に引き上げる案は含まれていなかった。

その代わり対策案では、学校の教職員が銃火器を扱えるよう訓練するという、物議を醸しているトランプ氏の提案が押し進められている。(3月15日のBBCニュースより引用)

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14日、全米各地でデモ行進する高校生(usnewsより)

「僕たちは無為に座っていることにも、政治家が実際に何もせずに何をやろうとしているのかを話すのを聞いてることにも飽き飽きしている。 そして、僕たちはそういった大人たち──僕たちはどうでもいいみたいに、自分たちが何をやろうとしているのか言うこと──にもうんざりだ」(3月14日のWashington post ''Thousands of students walk out of school in nationwide gun violence protest''より引用・訳)

 

これは16歳のミネソタ州の高校2年の青年の弁だ。彼はまだ16歳なので残念ながら選挙権はないが、このデモ行進に参加した生徒達の心境の一面なのだろう。彼らはそれぞれ「もうたくさん」「二度と繰り返すな」などの手書きのボードを掲げて行進をした。既に投票権を持つ18歳の生徒の中には「銃規制に反対する候補は私達が落選させるだけ」という声もあった。

米国では銃乱射事件が起きる度に、銃規制の論争が起こってはいつの間にか消え、また事件が起きるというのが何度も繰り返されている。銃規制反対派がいつも前面に押し出すのが、かの有名な合衆国憲法修正第二条「武器保有権」だ。

 

はたから見ていると「銃購入に関するいかなる規制にも反対する」と豪語したNRAは悪代官そのものだ。裕福な家の子女が通う私立学校は隔離された場所で門扉と警備員によって厳重に保護されており、事件に巻き込まれる心配もない。ここでもこの国の格差による国民の分断が見える。

 

デモ行進に参加した生徒の一人は「デモで何かが変わるとは思っていない。でも私たちが声を上げ続けることには意味があると思う」と言っていた。

米国のデモ行進や抗議運動というと、キレイにプリントされたカラーボードが思い浮かぶ。安全な環境で学校生活を送りたいと願う米国の子供が何か別の主張や権力に悪用されなければいいが。

 

HQトリビアで職場に一体感?

HQ trivia(HQトリビア)というゲームをご存知だろうか。

2017年8月、米国の動画アプリVineの創設者Rus Ysupov氏らが立ち上げたゲームアプリだ。

このゲームアプリは現在全米で大人気となり、かつて社会現象となったポケモンゴーさながらのヒットとなっている。

巷にゲームアプリは溢れているが、このゲームの特徴は、LIVEでユーザー参加型のクイズゲームであり、コメディアンのScott Rogowsky氏が毎日、東部時間の15時と21時に生出演しクイズショーさながらの臨場感で司会を務めること、そして12問全部を正解した参加者には賞金が人数分に割り与えられることだ。

Rogowsky氏はこのゲームがヒットした理由を、昔からある雑学クイズの親しみやすさと、賞金と考えている。日本でも大流行した「クイズミリオネア」のような形式をオンラインで行っているのだ。

創設者のYusupov氏は、vineを立ち上げた後ツイッター社で働いた経験がある。つまり彼はLiveでのやり取りを肌で知っている。そのため、彼はクイズは1日に二度、決まった時間にしか行わないことを決めた。いつでも出来るのではなく、15時と21時、そして15分間しかできないことを付加価値にした。

職場でその場にいる人間が息抜きのために仕事を中断し、みんなでHQに参加するのだ。どんな問題が出たか、その答えから会話が広がり、それが職場の結束にも繋がっているというのだから驚きだ。参加者が何百万人にも広がった今では、5万ドルの賞金をシェアすると一人20セントにも満たないことが多い。しかし全問正解者は一様に満面の笑みだ。金額は後で知るが、それは問題ではないと言う。娯楽とそれを楽しんだ達成感、そして周りもそれを知っているだけに、名誉もあるようだ。

マーケティングの専門家は、「ミレニアル世代を15分間集中させるのは至難の技」と言う。

課題もある。

問題が出題されてから10秒間の間にインターネットで答えを検索し、正解を手に入れるというものだ。カンニングのようなものだが、罰する手段はないし、それを不正とも言い切れない。また、現在は広告収入はないが、もし導入するなら、より良いサービスや高い賞金が提供できるようになると見込まれるが、その反面、画面が見づらくなったり、新たな悪行が発生するかもしれない。

より良い形を求めてまだ模索中の段階だが、流行り廃りが激しい世界。今、これによって職場のコミュニケーションが円滑になったり、頭のエクササイズになるというのであれば、それだけで大きな収穫だ。日本で、15時に皆がデスクを離れて集まって、和気藹々とこのクイズを楽しむというのは、想像出来ないが。